画像出典:駐日ロシア連邦大使館:駐日ロシア大使 M.Yu.Galuzin による講演「現段階におけるロシアの外交政策」、2022 年 10 月 19 日(スクショ加工掲載)
日本語お上手:こんなにすごいぞ!駐日露ガルージン大使
今月下旬には離任が決まっている『ミハイル・ユーリエヴィチ・ガルージン』駐日ロシア大使。
大使からこぼれる流暢な日本語と紳士的で冷静沈着な口調の数々は、聞く者に「おそロシア」のイメージとは正反対の安心と信頼性と、何よりも”深き日本愛”を感じさせてきたのではないでしょうか?
これほどの優秀な大使を日本に派遣してくれたロシア側の対日姿勢に感謝しつつ、その「本気度」を改めて痛感する次第です。
悪いネズミ
↓ちょっとだけでも覗いてみて。
多分イメージ変わると思うよ。
嫡男:スラ
いや~、日本語を一度も聞いたことが無いどこかの二重国籍者と違って、めちゃくちゃ親近感がわいてくるよね♥
ガルージン氏から、みなさんに質問があるそうです
タヌキ
動画は、『ロシアの外交政策』を説明する講演におけるガルージン氏冒頭発言です。
悪いネズミ
ウクライナ問題を語る上での大前提が問題提起されているよ!
是非みんなも考えてみてね。
(注:↑動画内ガルージン氏が語った発言を要約しています。詳しくは出典をご覧ください)
ガルージン氏から日本のみなさんに対する質問①:コソボ
9分~
「1998~1999年、NATO(主にアメリカ)が旧ユーゴスラビアに軍事侵略し、コソボを一方的に独立宣言させました」⇇これは第二次大戦後初となる(ヨーロッパでの)国境変更事案となっています。
「当時の日本政府はコソボ問題に関し、何の非難声明も制裁も実行してはいません」
質問:「力による国境線の書き換えを認めないはずの日本が、どうしてコソボ問題を不問としてきたのでしょう?(ロシアばかりを非難するのはなぜでしょう?)」
【参考過去記事:コソボ説明アリ】
国連総会:ロシア・4州併合非難決議を採択
小さな揉め事も、大きな揉め事も『ダブルスタンダード』では”裁かれた方”は納得出来ません。国連の判断、国際司法裁判所の判断に公平さがあったなら、第三次大戦の契機となりそうな「ウクライナ戦争」は勃発しなかった事でしょう。
ガルージン氏から日本のみなさんに対する質問②:イラク
10分30秒~
「2003年、NATO(主にアメリカ)がイラクに戦争を持ち込んだ結果、国家としてのイラクは完全に破壊されました」
「結局、イラク政府が破壊された結果、ISISなどの国際テロ組織が跋扈する様になり中東情勢だけにとどまらず世界情勢もが不安定化する主原因となりました」
「アメリカは軍事侵攻を正当化する為に数々の嘘をつきました(大量化学兵器など)」
質問:「当時日本政府は、アメリカへ何らの非難声明・制裁発動もやっていないどころか、アメリカの戦争を支持し、協力しました。なぜですか?許されるのですか?」
【参考過去記事:イラク戦争説明アリ】
2003年イラク戦争:ウクライナと比較してみよう!
東西冷戦終結後。世界中で起こった戦争・紛争・革命騒ぎのほぼすべてはアメリカ合衆国(国際金融)が引き起こしてきました。現在激戦となっている「ウクライナ紛争」について、なぜ過去からの比較検証や、戦争首謀者への追及がなされないのでしょうか?
ガルージン氏から日本のみなさんに対する質問③:リビア
13分~
「2011年、リビアでもイラクと同じことが起きました」
「当時、リビア指導者であったカダフィー大佐は、全世界に中継される形で(アメリカによって)殺されました」
「国連も一枚嚙んでいました」
「現在でもリビアは2つの地域に分かれたままで、主権国家としての機能を完全に失ったまま固定化されています」
「その結果、リビアでは大量のテロリストが暗躍。大量の難民がリビアを通りぬけ欧州を目指すようになっています」
質問:「日本政府は現在においてもリビア問題を取り上げる事すらせず、NATO(アメリカ)を非難すらしません。むしろ軍事作戦を支持しています。なぜですか?」
【参考過去記事:リビア・NATO東方拡大説明アリ】
NATO拡大=紛争拡大:常識を語る勇気
トルコは南部地域にアメリカが焚きつけたクルド人問題を抱えています。北欧2国はアメリカと共謀しシリア内戦に介入し、クルド人組織の支援に回っています。NATO拡大は必ずしも和平への道筋ではないのです。
ガルージン氏から日本のみなさんに対する質問④:シリア
15分55秒~
「ご存知ですか?今現在、シリアではアメリカがシリア国内の一部を占領し米軍を駐留させています」
「ご存知ですか?今現在、アメリカはシリア占領地域で地下資源の石油を勝手に採掘しています」
「当然、現地のシリア人はアメリカ(軍)の駐留を認めておらず、国富が盗まれている事にも同意していません」
「当然、アサド政権はアメリカ軍の撤退を毎日のように求めています」
質問:「日本政府は現在においてもシリア問題を取り上げる事すらせず、事実上アメリカの犯罪行為を支持し続けています。なぜですか?」
ガルージン氏から日本のみなさんに対する質問⑤:核使用
17分25秒~
「ご存知ですか?1945年の広島・長崎への原爆投下に関連し、日本政府はアメリカ政府に対し公式に非難声明を発した事実はありません」
「ご存知ですか?アメリカ軍は旧ユーゴ紛争では『劣化ウラン弾』を既に使用していました」
「ご存知ですか?『劣化ウラン弾』が使用された(現在のセルビア地域)では、急速にがん患者が増加しています」
「ご存知ですか?現在の『(ロシア側から見た)対ウクライナ特別軍事作戦』よりも前の段階で、”ゼ”政権は核軍備について言及しています」
質問:「ロシア側が『核』という言葉さえ使用してなかった頃から、日本のメディアや言論人がしきりと「ロシアが核を使う(はずだ)」と騒いでいたのは、なぜですか?」
【参考過去記事:核使用の可能性を考察】
戦術核使用:誰が”得”するのかを探し出す作業
ロシアにとってのウクライナは、同族民の暮らすかけがえのない『隣国』。英米にとってのウクライナは、ロシアを追い詰める自国から離れた『狩場』。核攻撃、あるいは汚い爆弾が使用され、困る側、利益を得る側がどちらか?常識をもって考えてみましょう。
ガルージン氏から日本のみなさんに対する質問⑤:日本政府の外交政策全般
21分~
質問:「ロシア・ウクライナ問題に対する日本政府の態度は、欺瞞に満ち、二重規範の上に成り立っているのではないでしょうか?」
質問:「(先に述べた世界の紛争を踏まえると)アメリカとそれに追従する(日本を含む)陣営の方こそ、国連憲章に定める世界秩序を壊しているのではないですか?」
質問:「NATO(主にアメリカ)が軍事介入した地域において、ただの一例も『安定・安全・繁栄・発展』は無かったはずです。しかし、この間も、現在も、批判の対象となっているのはアメリカではなくロシアのみです。なぜなのでしょう?」
質問:「(政府高官や知識人を含め)日本人の多くの人々は、NATOやアメリカが世界の安定に貢献する存在だと思い込んでいます・・が、明らかに事実誤認しているのではないでしょうか?」
終始、西側のみに許されてきた(日本も加担する)「奇妙な二重規範」について理路整然と語られています。
もっとも、ガルージン氏は付け加えるようにこうも述べています。(注:↓はガルージン氏の発言要約)
ガルージン氏
NATOやアメリカが世界中で戦争犯罪行為を行ったからと言って、我々ロシア側がウクライナにおいて戦争犯罪を犯していいと言いたいわけではありません。
ロシアが主張したいのは、そのような歴史を持つNATO(アメリカ)が、数々の合意事項を反故にしつつロシアの目と鼻の先にまで迫ってきた事実についてで、その事は、みなさんが感じている以上にロシア側にとって”脅威”となっています。
今回、なぜロシアが特別軍事作戦を決定しなければならなかったのかを、是非皆さんにも知っておいてほしかったのです。
まとめ
ガルージン氏の発言を耳にした日本人各位が、「なんて奴だ!戦争を正当化している」「単なる言い訳じゃないか!!」と受け取るのか、「なるほど一理あるようだ」「もっとロシアの事を知らなければ」と受け取るのかは・・個々の判断でよろしいと思います。
ただ、
当サイトといたしましては、昨今の『ロ・ウ戦争』を伝える(特に自由主義陣営に属する国家の)情報空間が極めて歪んでいるように思えてならない事から、今回はガルージン氏による一次ソース発言を取り上げてみました。
【日ロの未来を考える1】
ロ・ウ戦争を含む世界情勢の判断基準として、是非ご参考になさって下さい。
続きは第二部にて・・